MUSIC STORE COLUMN
なぜ楽器店はネット販売で 価格競争になってしまうのか。
価格競争の原因は、店が小さいからでも、ネット販売だからでもありません。
実店舗でも、近隣店や大型店の価格を見ながら値段を決めている店はあります。 逆にネットでも、他店より高い価格で選ばれている店があります。
違いは、 お客様から見たときに、価格以外にもその店を選ぶ理由があるかどうかです。
同じメーカー、同じ型番の商品を扱っていても、 店が提供しているものまで同じとは限りません。 それなのに、その違いがネット上で見えなければ、 お客様は比較しやすい価格で判断するしかなくなります。
WHY PRICE COMPETITION HAPPENS
01 / CAUSE
価格競争は、 「価格が安い店があるから」起きるわけではありません。
お客様から見て、店ごとの違いが分からなければ、 比較しやすい条件に目が向きます。
楽器店が価格競争に巻き込まれると、 「競合店が安いから仕方がない」 「ネットでは価格で比べられるから仕方がない」 と考えがちです。
でも、本当の原因はそこではありません。
同じ商品を扱っていて、 その店から買う理由が価格以外に見えなければ、 お客様は価格、在庫、送料、ポイントなど、 比較しやすい条件で選ぶことになります。
価格競争は原因ではなく、 「店の違いが見えていない」結果として起きます。
つまり、価格競争から抜けるために最初に考えるべきなのは、 値段をどうするかではありません。 自店と他店の違いが、お客様に見えているかどうかです。
SAME PRODUCT
ネットでは、店が違っても「同じ商品」に見えやすい。
店頭なら、商品を見ながら説明できます。 「こちらの個体の方が吹きやすい」 「初心者ならこちらの方が扱いやすい」 「この状態なら一度調整してから渡した方がいい」 と、その場で店の知識や判断を伝えられます。
ところがネットでは、 メーカー写真、型番、仕様、価格だけで商品ページが作られていることも少なくありません。
- 同じメーカー写真
- 同じ型番
- 同じ仕様
- 似た商品説明
- 価格だけが大きく見える
- 店員の判断が伝わらない
これでは、お客様から見れば 「同じ商品を違う店が売っている」ようにしか見えません。
店の違いが見えないなら、 お客様は見える違いで比べます。 その一番分かりやすい違いが、価格です。
03 / STORE WORK
同じ商品でも、 店が提供しているものまで同じではありません。
楽器店の価値は、商品そのものだけではなく、 その前後に加えている仕事にもあります。
例えば同じ型番の楽器でも、 箱から出してそのまま販売する店と、 状態を確認し、必要な調整を行い、 使う人に合うかまで考えて販売する店では、 お客様が受け取るものは同じではありません。
商品を見る目
状態や個体差を見極め、安心して販売できるものを選ぶ。
調整・検品
必要な手を加え、より使いやすい状態にして届ける。
専門知識
商品の違いや向いている人を分かりやすく説明する。
相談対応
購入前の迷いだけでなく、購入後の困りごとにも対応する。
こうした仕事は、店側にとっては日常業務かもしれません。 でも、お客様にとっては 「その店から買うことで受け取れる価値」です。
問題は、それを当たり前の無料サービスとして扱い、 ネット上ではほとんど伝えていない店が多いことです。
価値がないのではありません。 価値が見えていない。 だから同じ商品に見え、価格で比べられます。
04 / CUSTOMER
すべてのお客様を、 価格以外で振り向かせる必要はありません。
「同じ型番なら、一番安い店で買いたい」という人もいます。 その人まで無理に取りにいく必要はありません。
価格で店を選ぶお客様は確実にいます。 これは小さな店でも大きな店でも同じです。
ただ、そのお客様を相手にすれば、 最後は価格、ポイント、送料、在庫などの条件勝負になります。
一方で、 「多少価格が違っても、状態の良いものが欲しい」 「自分に合うものを相談して選びたい」 「きちんと調整されたものを買いたい」 「買った後も相談できる店がいい」 と考えるお客様もいます。
小さな楽器店が専門性を生かすなら、 安さだけで店を選ばないお客様に 「この店から買う理由」を伝える方が合理的です。
楽器や専門的なパーツほど、 商品を決めることと店を決めることが切り離せない場面があります。 同じ型番でも個体差が気になる。 自分に合うか分からない。 調整状態が気になる。 初めて買うので失敗したくない。
そうなると、お客様は価格だけでなく、 「この商品について誰に相談するか」「どの店から買うか」 まで含めて考えます。
05 / WHY THIS STORE
価格競争から抜けるなら、 先に「なぜ自店から買うべきなのか」を作る。
価格を上げることが目的ではありません。 価格以外にも納得できる理由を作ることが先です。
価格競争から抜けたいからといって、 ただ値段を高く設定しても選ばれません。
まず必要なのは、 自店には何があり、 それがどんなお客様に役立ち、 商品と一緒にどんな価値を提供できるのかを明確にすることです。
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01
自店の強みを見つける
商品を見る目、調整、専門知識、接客経験、購入後対応など、 すでに店の中にあるものを振り返ります。
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02
その強みが、誰に最も役立つかを考える
すべてのお客様ではなく、 自店だからこそ深く役立てる相手を考えます。
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03
商品にどんな価値を加えるかを決める
選定、調整、検品、説明、相談など、 お客様が実際に受け取れる形へ反映します。
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04
購入前に違いが分かるように伝える
商品ページだけでなく、 店の考え方や提供している仕事まで伝えます。
価格競争を避ける方法は、価格を触らないことではありません。
価格以外の違いが、購入前に分かる状態を作ることです。
そのためには、何でも扱うのではなく、 自店が一番力を発揮できる分野へネット販売を寄せることも重要です。 ただし、専門店化するだけで十分ではありません。 その先で、技術や工夫、さらにお客様の楽しみまでどこまで深くできるかを考えます。
楽器店はネットで何を売るべき?専門店化の先で「この店だから」を作るその違いをSNSでどう伝えるかについては、 商品情報や値下げ告知だけではなく、 店の考え方や普段の仕事そのものを発信する考え方を、こちらの記事で詳しくまとめています。
楽器店のSNS、何を発信すればいい?「この店だから」が伝わる発信の考え方CONCLUSION
価格競争の原因は、 「安い店があること」ではありません。
店頭でもネットでも、 価格で選ばれる店はあります。 逆に、他店より価格が高くても選ばれる店もあります。
その違いは、 お客様から見たときに、価格以外にもその店を選ぶ理由があるかどうかです。
商品を見る目、調整、検品、専門知識、相談対応。 同じメーカー、同じ型番の商品でも、 店が加えている仕事は同じではありません。
価格競争から抜けるなら、 値段を変える前に「なぜ自店から買うべきなのか」を作る。
CONTACT
価格で比べられる販売から、 自店だから選ばれる販売へ。
商品や技術はある。でもネットでは価格で比較される。 そんな楽器店・楽器関連事業者の方へ。 店の中にある専門性を見つけ、 「なぜ自店から買うべきなのか」が伝わる形へ育てます。
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