OUTDOOR SHOP / ONLINE SALES
小さなアウトドアショップが ネット販売で選ばれるために 自店らしさを商品やサービスに活かす方法
大手通販と同じ商品を同じように並べるだけでは、小さなアウトドアショップの良さはネットではなかなか伝わりません。
同じメーカーのテント、ウェア、シューズ、バーナーを扱っていれば、商品そのものは他店でも購入できます。商品写真とスペックだけで比べられれば、価格、送料、ポイント、在庫、発送の早さが目立つ店ほど有利になります。
だからといって、「他店がやっていないこと」を無理に探す必要はありません。先に考えたいのは、自店はどんな人に一番役立てるのかということです。
誰に一番役立てるのかを考え、その人に必要な商品や情報、サービスを一つずつ充実させていく。
その積み重ねが、自店の考え方やこだわりに共感してくれる人に選ばれる理由になります。
REAL STORE / ONLINE
実店舗では成り立つ品揃えも ネットでは同じ見せ方が通用しにくい
実店舗では、登山用品、キャンプ用品、ウェア、シューズ、小物まで、幅広いジャンルの商品を扱っている店がほとんどです。地域のお客様がさまざまな目的で来店するため、必要なものを広く揃えていること自体に大きな価値があります。
店頭であれば、お客様は商品を手に取ったり、売り場を見比べたりしながら、自分に必要なものを探すことができます。特定の分野だけを強く打ち出さなくても、幅広い品揃えがあることで十分に役立てる場面があります。
ところがネットでは事情が変わります。テントも登山靴もウェアもキャンプ用品も幅広く並べているだけでは、大手通販や他の専門店と同じように見えてしまいます。商品数、価格、送料、在庫、発送の早さで比べられると、小さな店が選ばれる理由は見えにくくなります。
だからネットでは、実店舗と同じように「いろいろあります」と見せるだけではなく、その中でも自店の経験や考え方、こだわりがよく表れる部分を、より深く見せる必要があります。
実店舗では幅広く扱う。
ネットでは、その中でも自店らしさが最も出る部分を深く見せる。
そうすることで、自店の考え方やこだわりに共感してくれる人に選ばれるお店を目指します。
WHO DO YOU HELP?
まず、自店が一番役立てる人を 考えてみる
「登山をする人」「キャンプをする人」だけでは、まだ広すぎます。同じ登山でも、初めて山を歩く人と長年登っている人では、必要な商品も知りたい情報も違います。
そこで、自分たちの経験や得意なことを振り返りながら、「自店なら、どんな人に特に役立てるだろう」と考えてみます。
どんな人に一番役立てるかは、お店によって違います。売れそうな分野を無理に探すのではなく、自分たちが詳しいこと、長く続けてきたこと、人に教えて喜ばれたこと、これからも深く関わっていきたいことなどから考えます。
誰に一番役立てるのかが明確になると、その人を基準に店全体を考えられるようになります。どんな商品を揃えるのか、どんな情報を伝えるのか、どんなサービスを用意するのか。店づくりの方向が一つにつながっていきます。
先に「○○に強い店」を作ろうとするのではありません。
自店が一番役立てる人を考え、その人のために商品や情報、サービスを深めていく。
その積み重ねが、自店の考え方やこだわりに共感してくれる人に選ばれる理由になります。
BUILD THE WHOLE SHOP
誰に役立つお店にするのかが決まると 商品も情報も変わってくる
誰に一番役立てるのかが明確になると、その人を基準に店全体を考えられるようになります。どんな商品を揃えるのか。どんな情報があれば助かるのか。どんな工夫をすればもっと使いやすくなるのか。それぞれを同じ方向へ深めていけます。
商品を幅広く並べるだけ
商品は揃っていても、ネット上ではその店ならではの考え方が見えにくくなります。
お客様を基準に店を深める
自店が一番役立てる人を基準にすると、商品以外にも店独自の内容が増えていきます。
一つひとつは珍しいことではありません。それでも、同じお客様を考えながら商品、情報、サービスを積み重ねていけば、店全体に一貫した特徴が生まれてきます。
商品そのものは他店と同じでも、「なぜこの商品を扱うのか」「誰に向いているのか」「どう使えばいいのか」「何と組み合わせるのか」まで自店の経験をもとに伝えられれば、同じ商品を並べているだけの店とは見え方が変わります。
FIRST WINTER LOW MOUNTAIN
例えば 「初めて冬の低山を歩く人」に役立つ店
ここからは、店主自身が長年、冬の近郊低山を歩いてきたアウトドアショップを例に考えます。
この店が特に役立てそうなのは、「春から秋までは山へ行くけれど、冬の山は初めて」という人です。冬にも歩いてみたい気持ちはあるものの、何を用意すればいいのか分からず、なかなか一歩を踏み出せない人を想定します。
この人が知りたいのは、冬物商品の一覧ではありません。余計な買い物をせず、自分に必要なものを知り、無理のないところから冬の山を楽しむための具体的な情報です。
ならば、この店が考えることも「冬物を何点増やすか」ではありません。
初めて冬の低山へ行く人に、商品や情報を通じて何ができるのか。そこから店を深めていきます。
PRODUCTS
同じお客様の中にある さまざまなケースまで考える
「初めて冬の低山を歩く人」といっても、必要なものは一人ひとり同じではありません。
寒がりの人もいれば、歩くとすぐ暑くなる人もいます。すでに春や秋の登山用品を持っている人もいれば、ほとんど何も持っていない人もいます。短時間の低山歩きを考えている人と、少し長めに歩きたい人でも必要なものは変わります。
だからこそ、同じ「冬の低山初心者」という中でも、どんなケースがあるのかを細かく考えていきます。その違いに合わせて商品や組み合わせ、使い方の選択肢を増やしていくことで、店としての役立ち方も深くなります。
持っている道具が違う
すでに使えるものがある人と、一から揃える人では必要な商品が変わる。
寒さの感じ方が違う
寒がりの人、汗をかきやすい人など、それぞれに合う組み合わせを考える。
歩く場所や時間が違う
短時間の低山と、長く歩く山では必要な防寒や装備も変わる。
条件が違う
風、気温、雪の有無などによって必要なものや使い方が変わる。
例えばアウター一つを紹介する場合でも、「これがおすすめです」で終わる必要はありません。寒がりの人ならどうするか、汗をかきやすい人ならどうするか、すでにミドルレイヤーを持っている人ならどうするか。いくつかのケースに分けて考えることができます。
商品についても同じです。一つの商品に絞るのではなく、違うケースに対応できるように複数の選択肢を用意し、それぞれがどんな人や場面に向いているのかを分かりやすく伝えます。
店主自身が分からない組み合わせや条件があれば、実際に使って確かめることが必要な場合もあるでしょう。気温や天候、歩いた時間、使った組み合わせまで記録していけば、商品選びにも記事にも使える店独自の情報が増えていきます。
深めるとは、商品を少なく絞ることではありません。
自店が役立てるお客様の中にある、さまざまな違いや場面まで考え、その一つひとつに応えられる商品や情報を増やしていくことです。
USEFUL INFORMATION
売りたい情報ではなく その人が知りたい情報を増やす
ネットショップを運営していると、どうしても「売るための情報」が発信の中心になりがちです。
セールのお知らせ、キャンペーン、新商品の案内、入荷情報、おすすめ商品の紹介。もちろん、こうした情報も必要です。ただ、そればかりでは、店側が売りたいものを伝えているだけになってしまいます。
一方、お客様がネットで探しているのは商品だけではありません。「何を選べばいいのか」「自分の場合は何が必要なのか」「どう使えばいいのか」「どの商品が合うのか」といった疑問への答えも探しています。
だからこそ、自店が一番役立てる人が普段どんなことに困り、何を知りたがっているのかを考え、その答えになる情報を増やしていきます。
商品の選び方
初心者向け防寒着、靴、手袋、帽子などの選び方を説明する。
商品の使い方
重ね着の順番、脱ぎ着のタイミング、休憩時の使い方まで説明する。
比較・検証
実際に使った商品を比較し、それぞれの違いや向いている人を伝える。
楽しみ方
道具だけでなく、冬の低山ならではの楽しみ方も紹介する。
CONTENT IDEAS
「初めて冬の低山へ行く人」が知りたいことを考える
初心者向けの基本的な重ね着を図解する。
手持ちの道具を生かせる範囲を説明する。
歩行中と休憩時の違いから防寒を考える。
価格だけでなく、特徴や使う場面の違いで比べる。
気温、天候、組み合わせとともに紹介する。
景色や休憩など、商品以外の楽しさまで伝える。
こうした情報が増えていけば、検索から一つの記事へ来た人にも、別の記事や商品ページを見ながら「ここには自分が知りたかったことがたくさんある」と感じてもらえるようになります。
さらに、商品を紹介するときにも店独自の説明が増えていきます。メーカーの説明をそのまま載せるのではなく、自店の経験をもとに「こういう人に向いている」「この場面では使いやすかった」「こちらの商品との違いはここ」と伝えられるからです。
セールやキャンペーンなど、売るための情報ばかりを増やすのではなく、
お客様が知りたいこと、困っていることに答える情報を増やしていく。
その積み重ねによって、「この店を見ると役に立つ」と感じてもらえるようになります。
THOUGHT & PROMISE
なぜ、その人に役立ちたいのか 店の考え方も伝える
商品や情報を充実させるだけでなく、その背景にある店の考え方も伝えます。
例えば、店主自身が冬の低山を長く楽しんできたこと。最初は何を着ればいいのか分からず、失敗した経験があること。初めて冬山へ行く人に道具の選び方を教えたところ、とても喜ばれたこと。
そうした経験があるなら、「初めて冬の低山へ行く人に、安心して冬の山を楽しんでほしい」という店の考え方にも理由があります。
誰に
初めて冬の低山を歩いてみたい人へ。
何を
必要な商品と知識を分かりやすく届ける。
なぜ
冬の山の楽しさをもっと多くの人に知ってほしいから。
何を大切にするか
必要なものを理由や使い方とともに分かりやすく伝える。
「初心者に分かりやすく伝えます」と言うなら、商品ページや記事も実際に初心者に分かりやすい内容にする。「自分たちで使って確かめます」と伝えるなら、その結果を商品説明や記事にも反映する。言葉と実際の仕事がつながっていることが大切です。
店の考え方を言葉だけで伝えるのではありません。
商品の選び方や情報の内容、日々の取り組みそのものからも、その店が何を大切にしているのかが伝わるようにします。
SHOW IT CLEARLY
ここまでやっていることを ネットでも分かるようにする
商品を選び直し、役立つ情報を増やし、店として大切にすることも決まった。それでも、その事実がネット上で見えなければ、お客様には分かりません。
だから、サイトのどこから訪れても、自店がどんな人に役立とうとしている店なのか、そのためにどんなことをしているのかが分かるようにします。
EXAMPLE
例えば、こんな店なら特徴が伝わりやすい
初めて冬の低山を歩いてみたい方へ。
冬の近郊低山を長年歩いてきた店主が、初めての方でも選びやすい道具を実際に使いながら紹介。ウェアの選び方、重ね着、道具の使い方、冬ならではの楽しみ方まで詳しくお伝えしています。
さらに商品ページや記事にも、実際の使用経験や比較、初心者向けの説明が揃っていれば、この言葉が単なる宣伝ではなく、店が実際にやっていることとして伝わります。
トップページ
どんな人に特に役立てる店なのかを分かりやすく伝える。
商品ページ
商品だけでなく、向いている人や使い方まで伝える。
記事
お客様が抱える疑問に一つずつ答える。
店について
なぜその人に役立ちたいのか、店の考え方を伝える。
TOPページに「冬の低山に強い店」と書くだけではなく、商品、記事、店についてのページまで見たときに、同じ方向を向いている状態にします。
そうすれば、お客様はキャッチコピーだけで判断する必要がありません。サイトの中身そのものを見ながら、「この店は自分に合いそうだ」「この店なら詳しそうだ」と感じることができます。
作っていない魅力を言葉で足すのではありません。
お客様のために実際に工夫している商品、情報、仕事を、ネットでもきちんと見えるようにする。
それが、自店らしさを伝えるということです。
REAL STORE × ONLINE
ネットで1つの分野を深めても 実店舗まで狭くする必要はない
ネットで「初めて冬の低山を歩く人」に向けた商品や情報を深めるからといって、実店舗まで冬の低山専門店にする必要はありません。
実店舗ではこれまで通り、登山、キャンプ、ウェア、小物など、地域のお客様に必要とされる商品を幅広く扱うことができます。その幅広さには、実店舗だからこその価値があります。
実店舗
地域のお客様の幅広い目的に応える。
ネット
自店らしさが最も出る部分を深く伝える。
ネットの記事を読んだ人が実店舗へ来ることもあります。店頭で新しく聞かれた質問から、また記事のテーマが見つかることもあります。実店舗とネットを別々の店として考えるのではなく、それぞれの良さを生かしながら内容を深めていけばいいのです。
実店舗の幅広さを捨てる必要はありません。
その中にある「自店らしさが最も出る部分」を、ネットではより深く見せていきます。
SUMMARY
まとめ
実店舗では、さまざまなアウトドア用品を幅広く扱うこと自体に価値があります。しかし、その品揃えをそのままネットへ持っていき、商品を並べるだけでは、大手通販や他店との違いが見えにくくなります。
だからといって、先に珍しい特徴を作ったり、「○○専門店」と名乗ったりする必要はありません。まず、自店の経験や得意なことを振り返り、どんな人に一番役立てるのかを考えます。
その人に必要な商品を考える。商品の選び方や使い方、比較など、知りたい情報を増やす。なぜその人に役立ちたいのか、店として大切にしていることも伝える。そして、そこで実際にやっていることを商品ページや記事、店についてのページで見えるようにします。
こうして一つの方向へ深めていけば、扱っている商品が他店と同じでも、店全体から自店らしさが見えるようになります。
他店との違いを作ることから始めるのではありません。
自店が一番役立てる人に、もっと役立つことを考える。
そのために商品や情報、日々の仕事を深め、その事実をWebでしっかり伝える。
その積み重ねが、自店の考え方やこだわりに共感してくれる人に選ばれる理由になります。
