小さな楽器店が「モール頼み」から抜け出した方がいい理由

MUSIC STORE COLUMN

小さな楽器店が、 「モール頼み」から抜け出した方が いい理由。

「モールなら人が集まっているから、売りやすい」。
でも、価格競争をしない店を目指すなら、 その売り場が本当に自店に合っているのか、一度考えてみる必要があります。

楽天やデジマートなどのモールでは、同じメーカー・同じ型番の商品が並びます。 そうなると、お客様が比較しやすいのは価格、在庫、ポイント、送料といった条件です。

一方、小さな楽器店が持っている強みは、 商品を見る目、調整、検品、専門知識、相談対応など、 商品そのものだけでは見えない部分にあります。

価格や条件で比べられる場所に居続けるのか。 それとも、「なぜ自店から買うべきなのか」を作り、 店そのものを選んでもらう商売へ変えていくのか。

この記事では、その違いを順番に考えます。

FROM MARKETPLACE TO OWN BUSINESS

MARKETPLACE 条件で比べられやすい
  • 価格
  • 在庫
  • ポイント
  • 送料
OWN STORE 店の仕事まで見てもらえる
  • 商品を見る目
  • 調整・検品
  • 専門知識
  • 相談・購入後対応

01 / TRAFFIC

モールの集客力は、 自店の集客力ではありません。

モールに人がいることと、 「この店から買いたい」と思う人がいることは別です。

モールには確かに多くの人が集まります。 ただ、その多くは特定の店を見に来ているのではなく、 商品名や型番を検索し、条件の合う商品を探しに来ています。

同じ商品を扱う店が並べば、 お客様は価格、在庫、ポイント、送料などを見ながら比較できます。 そこで自店の商品が売れたとしても、 それだけで「自店が選ばれた」とは言えません。

次に同じような商品が必要になったとき、 お客様がまたモールを開き、その中から条件の良い店を探すのであれば、 前回買った店との関係はそこで一度切れています。

モールの集客力を借りて売ることと、 自店を目的にお客様が来てくれることは、まったく別の商売です。

価格競争から離れたい小さな楽器店が目指すべきなのは、 「この商品を買おう」だけではなく、 「この店から買おう」と思ってもらえる状態です。

では、そのために何を変える必要があるのでしょうか。 ここでまず考えたいのが、 モールで売れないときに行われがちな施策です。

02

VALUE

「同じ商品をお得に買える」以外の理由を作る。

モールで商品が思うように売れなければ、 広告を出す、ポイントを増やす、クーポンを配る、 セールをする、値下げする、検索順位を上げる、 レビューを増やす、といった施策へ進みやすくなります。

  • 広告費を払って露出を増やす
  • ポイント還元を増やす
  • クーポンやセールを行う
  • 競合店の価格を見ながら値下げする
  • モール内検索で上位を狙う
  • レビュー数を増やす

もちろん、こうした施策で売れることはあります。 ただ、その多くは結局、 「同じ商品なら、こちらの店の方がお得です」 という理由を強くしているだけです。

値段が下がる。ポイントが増える。クーポンが使える。 お客様にとって金銭的なメリットはあります。 しかし、その店から買うことで受け取れる 商品やサービスの価値そのものが増えたわけではありません。

同じ商品を、お得に買ってもらう工夫

  • 値段を下げる
  • ポイントを増やす
  • クーポンを配る
  • 広告で目立たせる

その店から買うことで、より良いものを受け取ってもらう工夫

  • 一本一本の状態を確認する
  • より良い状態になるよう調整する
  • 使う人に合うものを選ぶ
  • 違いを分かりやすく説明する
  • 購入後も相談できるようにする

小さな楽器店が手間をかけるべきなのは、 価格を下げることではなく、 お客様が受け取る価値を増やすことです。

状態を確認する。調整する。選ぶ。説明する。購入後も相談に乗る。 こうした仕事によってお客様のメリットが増えるのであれば、 その分を価格に反映しても、 「高いからやめる」ではなく 「それだけの価値がある」と納得してもらえる可能性があります。

売るために価格を下げるのではなく、
お客様のために価値を増やす。

ここまで考えると、 小さな楽器店がモールの中で価格や条件を競うこと自体が、 自店の強みを生かす戦い方ではないことが見えてきます。

03 / WHY THIS STORE

価格や条件で競わず、 「店の仕事」で選ばれる。

同じメーカー、同じ型番の商品でも、 そこに加えている仕事は店によって違います。

モールで比較されやすいのは、 価格、在庫、ポイント、送料です。 そして、こうした条件で競えば、 仕入れ量も在庫量も広告予算も大きい店の方が有利です。

小さな楽器店が、わざわざ同じ条件で競う必要はありません。

01

商品を見る目

個体差や状態を見極め、安心して販売できるものを選ぶ。

02

調整・検品

そのまま渡すのではなく、より使いやすい状態にして届ける。

03

専門知識

違いを説明し、使う人に合うものを選びやすくする。

04

相談対応

購入前だけでなく、購入後も困ったときに相談できる。

同じ商品を売っていても、 商品を見る目、調整、検品、説明、購入後の対応まで同じとは限りません。 小さな楽器店がネットで伝えるべきなのは、 こうした「商品に加えている仕事」の違いです。

もちろん、すべてのお客様がそこに価値を感じるわけではありません。 「同じ型番なら、とにかく一番安い店で買いたい」という人もいます。 その人を相手にすれば、最後は価格勝負になります。

一方で、 「多少価格が違っても、状態の良いものが欲しい」 「自分に合うものを相談して選びたい」 「きちんと調整されたものを買いたい」 「買った後も相談できる店がいい」 と考えるお客様もいます。

小さな楽器店が自店の専門性を生かして商売をするなら、 こうしたお客様に選ばれる店を作る方が合理的です。

楽器や専門的なパーツでは、 商品を決めることと店を決めることが切り離せない場合があります。 同じ型番でも個体差が気になる。 自分に合うか分からない。 調整状態が気になる。 初めて買うので失敗したくない。

そうなると、お客様は商品だけでなく、 「この商品について誰に相談するか」「どの店から買うか」 も同時に考えます。 高額で専門性の高い商品ほど、この違いは大きくなります。

では、こうしたお客様に自店の違いをきちんと伝えるには、 どこで、どのように売ればいいのでしょうか。

04 / OWN STORE

モールの商品ページを、 そのまま自社ECへ移しても意味はありません。

自社ECは、自店の違いを伝えられる場所です。 でも、場所を変えただけでは商売は変わりません。

モールでは、どうしても商品名、型番、価格などが主役になります。 自店の考え方や、商品に加えている仕事を十分に伝えるには、 自分たちで内容を決められる売り場を持つ方が向いています。

ただし、モールで使っていたメーカー写真、型番、仕様、価格を そのまま自社ECへ移しただけでは、 お客様から見れば「同じ商品を別の場所で売っている」だけです。

自社ECを作る前に、 まず「なぜ自店から買うべきなのか」を明確にする必要があります。

  1. 01

    自店の強みを見つける

    商品を見る目、調整、技術、専門知識、相談対応など、 今まで積み重ねてきたものを振り返ります。

  2. 02

    その強みが、誰に最も役立つかを考える

    すべての人を相手にするのではなく、 自店の価値を本当に必要とするお客様を考えます。

  3. 03

    商品にどんな価値を加えるかを決める

    選定、調整、検品、説明、相談など、 自店だから提供できる仕事を商品に反映します。

  4. 04

    その違いを、購入前に分かるように伝える

    商品ページだけでなく、 店の考え方、専門性、提供している仕事まで伝えます。

自社ECを持つことが目的ではありません。
「この店から買う理由」を、自店の言葉で伝えられる場所を持つことが大切です。

ここまでできて、初めて 「モールに頼らず自店で売る」という話が現実的になります。 次に必要なのは、その売り場へお客様が直接来る入口を育てることです。

05 / DIRECT TRAFFIC

自店へ直接来てもらう 商売を育てる。

モールの人通りに頼るのではなく、 自店の価値に興味を持つ人が直接来る入口を増やします。

自店へ直接来てもらう方法は一つではありません。 お客様の悩みに答える検索記事、 店の考え方や商品を見る目が伝わる発信、 既存のお客様との関係、 そして実際に価値を感じたお客様からの口コミや紹介。

01

検索

お客様の悩みや選び方に答える情報から、 自店を知ってもらいます。

02

発信

商品紹介だけでなく、 店の知識、考え方、商品を見る目が伝わる発信を行います。

03

既存顧客

購入後の関係を大切にし、 「次もこの店で」と思うお客様を増やします。

04

口コミ・指名

店の仕事そのものが評価され、 店名で探される状態を少しずつ育てます。

こうして増えたお客様は、 たまたまモールで自店の商品を見つけた人ではありません。 自店の記事を読み、考え方を知り、 商品や仕事の違いに納得して来てくれた人です。

その積み重ねが、 モールを離れた瞬間に消える集客ではなく、 自店に残る集客力になっていきます。

CONCLUSION

脱・モールとは、 「誰と商売するか」を 変えること。

モールから離れることは、単に販売先を一つ減らすことではありません。

「同じ商品なら一番安い店で買いたい」という人を追いかける商売から、 「自分に合う確かなものを、信頼できる店から買いたい人」 と商売する形へ変えることです。

小さな楽器店だからこそ、 価格、在庫、ポイント、広告費で大手と同じ勝負をする必要はありません。

商品を見る目、調整、検品、専門知識、相談対応。 すでに店の中にあるものを、 お客様が実際に受け取れる価値へ変える。 そして、その違いを必要とする人にきちんと伝える。

価格で選ばれたくないなら、
価格で比較される場所から離れる。
そして先に、「なぜ自店から買うべきなのか」を作る。

CONTACT

価格で比較される販売から、 自店だから選ばれる販売へ。

モールでの販売や価格競争に悩んでいる楽器店・楽器関連事業者の方へ。 今ある商品、技術、知識、お客様との関わりを振り返り、 自店だから提供できる価値を一緒に見つけます。

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